老舗の味を求めて神田須田町へ『いせ源』

先日訪れたお好み焼き『きじ』を会食した後に、新丸の内ビルディングからライトアップされた東京駅を眺めてたら、長年の間に工事が続けられた丸の内広場が、かなり整備されて工事終了も間近と思ってたら、12月7日に丸の内広場が供用開始( 平たく言えば、工事終了)となり、皇居、皇居前広場、行幸通りを通って東京駅丸の内駅舎へと真っ直ぐに一本道が出来上がったのです。
東京駅丸の内駅舎復旧作業から始まった一大工事でしたが、これで新しい観光スポットとして人気になると共に、今までの明治生命館前から皇居まで行われていた外国大使館『信任状捧呈式』のルートが丸の内駅舎前から皇居へと変更されることになりました。ちなみに、『信任状捧呈式』の送迎は自動車から馬車を選べるそうですが、各国の大使館は馬車を選ぶそうです。世界各国を見渡しても馬車での送り迎えをする国は数か国。馬車から皇居へと向かう光景も東京の風物詩になるのでしょうね。

都内唯一軒の
あんこう料理専門店『いせ源』

冬の時期は、何と言っても鍋です!!食べるだけで体の芯から温かくなる、家族団らんの食べのものと言えば、鍋。日本人に生まれてこれほどの鍋料理が有るって、日本に生まれて最高って叫びたくなります!!
今回は以前からツレが食べてたいと熱望してた鍋料理、あんこう鍋を食べに神田須田町の『いせ源』に訪れました。
銀座線「神田駅」を下車して、須田町方面へと長い通路をてくてくと歩いて、万世橋も見える交通量の多い須田町交差点に出てきます。雑踏と車の流れが激しい通りを抜けて旧鉄道博物館方面から細路地に入っていくと、急な静けさと共に数軒の古民家の一画に辿り着きます。その中に有る古民家『いせ源』は関東大震災により全焼後に、昭和5年建て直して戦前後の災いを免れて、現在は「東京都選定歴史的建造物」に指定されています。
『いせ源』は創業は江戸時代天保元年ですが、京橋でどぞう屋(どじょう)『いせ庄』として開業したのが始まりです。その後、神田連雀町に移り、店名も現在の『いせ源』へと改名をして、今でこそ、あんこう料理としての専門店の暖簾をあげてますが、その昔はあんこう鍋の他にも、寄せ鍋・ねぎま鍋・白魚鍋・牡蠣鍋等と様々な鍋料理を提供してたのですが、大正時代の4代目立川政蔵氏の時にあんこう料理専門店として舵を切り、現在では東京唯一のあんこう料理専門店として、青森県下北半島で水揚げされたあんこうのみを提供してます。

少し脱線になりますが、戦前は神田〇〇町と呼ばれるくらいに神田は広く地域に広がってましたが、戦後になって神田を省いて表現されるようになり、神田と言えば現在の神田駅周辺のイメージになりました。同じような感じの地名では、お隣の日本橋〇〇町と呼び回しをする日本橋が御座いますが、こちらは戦後も日本橋の冠を付けて表現するために、日本橋と言っても地域は広くなってます。

玄関の神棚

二階の大座敷間

畳の中のガス栓

さてと、うんちくが少し過ぎましたが、玄関脇のディスプレイには本物のあんこうが氷つけされた状態で陳列。これから食べる食材はこんなグロテスクな生き物かと思うと、昔の先人は良くあんこうを食べようと思った事に賞賛に絶えないです。店内に入ると、玄関先には神棚が設けられて、天井ははっきりと見えませんが酒樽の銘柄らしきものが貼り付けてあるのでしょうか?ちょっと変わった天井で目が向きます。
玄関で番頭さんから木札を貰い、靴を預けて2階に上がて大座敷間に通されました。
若くて可愛い女中さんが注文を取りに来て、ツレと二人で悩んだ末に、単品毎で頼むよりもコースでお願いしようと話がまとまり、デザート無しの8500円コースとビールをお願いしました。

前菜

煮こごり

きも刺し

あんこう鍋

8500円コースは、前菜・煮こごり・きも刺し・唐揚げ・とも和え・あんこう鍋・おじや・お新香。
前菜は、サザエ、南蛮漬けと箸休め的な一品です。その後に登場したのが、「煮こごり」と「きも刺し」です。
煮こごり」は、希少部位である卵巣を贅沢に使用し、特製の割り下で煮固めた料理で、お上品な味付けです。
「きも刺し」は、厳選したあん肝のより濃厚な中心部位のみを使用した代表料理で、日本酒に合います。ビールで飲むのがもったいないと言うより、この時期鍋なら飲み物は日本酒という事で、「越乃寒梅」で蛇の目でちびちびと呑み始めたところで、あんこう鍋の登場です。

日本酒(越乃寒梅)

唐揚げ

とも和え

あんこう鍋に火を入れてる間に、「唐揚げ」・「とも和え」が登場です。
唐揚げ」は適度に脱水と熟成を行った白身(大身部位または肩部位)に片栗粉を塗して揚げた料理で、あんこうの身ってこんな感じなのかって、あっさりした感じです。
とも和え」は、煮込んだ身をあん肝を使った調理味噌で和えた、身と肝の美味しさを凝縮された料理で、この一品は日本酒にとても合って、味噌の味が美味しかったです。
そして本日のメイン「あんこう鍋」です。普通は味噌の味が多いと言われる「あんこう鍋」ですが、いせ源さんの味付けは醤油ベースでの味付け。多分、今後あんこう鍋を食べる時にこのいせ源のあんこう鍋が全ての基準になるのでしょう。白滝が細くて、あんこうの肝や身もとても美味しかったです。これが老舗の味付けなのですね。歴史を感じます。
食べ終わったら、出し汁を加えてその中に白飯を混ぜながら入れて火を掛けるのですが、その間は絶対に鍋を触らないでくださいと言われました。その間、鍋をかき回したい衝動に駆られますが、暫くすると女中さんがやって来て玉子とネギを掛けて、「おじや」の完成です。醤油ベースなので味が濃いですが、お新香は薄味になっており、一緒に頂いてとても美味しかったです。全てに置いて、スキのない感じで安定感が有るコースでした。これが老舗の味なのですね。午後5時から御店が混むのも納得で、また来年も食べに来たくなるあんこう鍋です。
興味の有る方は、一度「いせ源」に訪れてみては如何でしょうか?

出来上がったあんこう鍋

スープを足した鍋に白米

二人分の黄身

おじや

 

タイトルとURLをコピーしました