ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊を読んで

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大変の私事ですが、2月の中旬まで一切の更新が有りませんでしたが、何と2月の上旬に自己管理の不十分で、人生初のインフルエンザを発症しましたw
軽く熱を発症して、毎年恒例の扁桃腺炎かなって思ったのですが、インフルエンザの検査の結果『香港A型』と判明!!
隣のベットの検査結果も『香港A型』で、その隣のベットも『香港A型』と正に香港A型祭りの病院でしたが、それだけ蔓延してるのですね!!
思わぬ1週間の長期休暇をゲットしたのですが、只々と眠り姫ならぬ、眠りおっさんとして爆睡してましたが、幸いにも熱もそれほど上がらずに、最初2日程は只々眠る日々でしたが、3日目になると暇で布団の中でゴロゴロと飼ってる猫の遊び相手と化しましたw
しかし、最近のインフルエンザの薬は凄く飲み薬かと思いきや、まさかの吸引薬で思いっ切り吸ってそれで終わり!!
これで熱が下がればスゴイと思ったら、本当に下がるからスゴイですw

ギリシャ人の物語Ⅱを読んで!!

ちょうどインフルエンザに発症する前に購入した塩野七生氏『ギリシャ人の物語Ⅱ』
ちょうど良い休みなので読破しようと読み始めたのですが、最初の50ページは話が頭に入ってこないと言うか、文章がまどろっこしいと言うのか、全然ページが捲れませんでしたが、ギリシャ世界の都市(ポリス)間の覇権争いと言っていい『ペロポネソス戦役』が始まったところから一気にスピードアップで捲れていきました。

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紀元前461年から紀元前404年、ペリクレスの治世と『ペロポネソス戦役』が描かれるのですが、この作品ではペルシヤ戦役での立役者のポリス、アテネの衰亡を書き綴られ、一言で言えばあっという間に滅ぶんだなって感じで坂道を転げ落ちていくのですが、これが事実なのだから史実は面白い一言です。
ギリシャ世界きっての名政治家である『ペリクレス』は、まさに塩野七生氏が大絶賛する才能の持ち主と弁論術も巧みで美男子と、おいおいまさに嫉妬したくなる色男。しかし、戦いに向かうと不得手と言う弱点から、著者が言うようにローマ帝政初代皇帝『アウグストゥス』に似てると思いますが、個人的には似てる要素は多いですが、似ても似つかないと思います。その理由は、『後継者の指名』をしなかった点で有ります。173ページの逸話が本当ならあまりにも失点が多いように感じます。
あれほど血に拘ったアウグストゥスが苦悩の末に後継者として指名したティベリウス。それに比べて病床においてもアテネの未来を担う後継者を指名しなかったペリクレス。
私にはアテネには後継者として指名できる人材が居なかったのか?と思うのですが、そこが『形は民主政体だが、実際にはただ一人が支配した時代』と揶揄されたペリクレスの限界なのか?それとも傍に居た『アルキビアデス』はアテネの統治者としての才能がないと見切ったのか?本当ならアルキビアデスを指名しても良かったと思います。それが民主政体の枠から外れたとしても、『キモン』を指名した『アリステイデス』の前例は有ったのだし、まだ無名だった『オクタヴィアヌス』に『アグリッパ』を付けて後継者として指名した稀代の英雄『ユリウス・カエサル』のように!!
しかし、そんなことは抜きにしても『ペレクレスの時代』はアテネの黄金期を象徴するように素晴らしい治世の一言に尽きます。それはよりよい繁栄の望む為に飽くなき努力の賜物で有ります。
それだからこそ、『形は民主政体だが、実際にはただ一人が支配した時代』と言われる黄金時代からあっという間に破滅へと転げ落ちるアテネが『どうして?』と言う気持ちが沸々と湧くのです。
ペレクレス以後と題名を付けるアテネは混迷を極めます。方向性を定めることも出来ずに、色々と拡大路線へと舵を切るアテネと話題性を与えても結果が出せないアルキビアデス!!
アルキビアデスを塩野七生氏は運が無いと一言で言いますが、私には本当の意味での『扇動者』はアルキビアデスではなかったのか?何故ならアルキビアデスには一貫性が無いように感じるからです。作中に出てくる『ライオンの子』は所詮『ライオンの子』であり、ライオンでは無いのです。スパルタの王族の血を引く赤子でも体に欠陥があれば崖へと落とすように、本当のライオンになれなかったアルキビアデス。

スパルタは良く鎖国的な国家なのに良くも上手く立ち回ったと感じるのですが、スパルタは今後のギリシャのリーダとして引っ張って行けずにギリシャ世界は混迷を極めるのですが、そして遠方から『本当のライオン』がギリシャ世界に舞い降りるのですが、それは次巻の話で塩野七生氏がどのように描くか楽しみにまた1年待つのです。
機会があれば、一度読まれてみては如何でしょうか?