昭和からの名店、虎ノ門『峠そば』

港区,食べ歩き

虎ノ門ヒルズを代表する森ビルの再開発が、今秋に全て完成すると広報があった。既に神谷町も再開発を手掛けてる森ビルとしては、日比谷線で、虎ノ門ヒルズ、神谷町、六本木と、駅周辺の再開発を成し遂げてる。しかし、再開発と共に、昔ながらの名店も暖簾を下ろすことになるのだが、、、。

昭和からの名店、虎ノ門『峠そば』

都内に峠の冠が付く蕎麦屋は3軒有ると言う。その中でも、虎ノ門に有る『峠そば』は、昔神保町界隈で、『スタンドそば』として店を構えていて、再開発の波で立ち退きになり、虎ノ門に移る際に、『峠そば』と改名した。

『峠そば』が有名になったきっかけは、NHKテレビや書籍で紹介されるようになり、くまモンの産みの親と呼ばれる、放送作家の小山薫堂氏のコラムでは、『蕎麦も天ぷらも職人による本格的な味わい。さらに客が好みを言えるのも素晴らしい。立ち食い蕎麦のレベルが高くなっているが、ここはその頂点といえる。』

「残りごま油1斗缶でさようなら」

ネットニュースを見掛けたのは、『峠そば』は、虎ノ門の再開発で立ち退きする事なりました。店主曰く、「店に残っているごま油1斗缶を使い切ったら閉めるからです」の一言に。これを見た私は、峠そばが無性に食べたくなって、虎ノ門まで行って来ました。

朝7時と11時の2部制で営業してる峠そばは、朝7時の営業で、石臼挽き蕎麦は売り切れと言う大繁盛ぶりです。私が訪れた時は、19日11時頃、開店して間もない峠そばは既に満員でした。勿論、石臼挽き蕎麦は売り切れなので、生蕎麦で野菜天ぷら3種盛りにトッピングでちくわを付けて貰いました。

店内は昭和の雰囲気を醸し出し、レトロな内装です。ごま油の香りが鼻に届き、天ぷらの揚げてる音が食欲を掻き立てる。

会計も変わっている。「蕎麦かうどんか」を告げて、食べたい蕎麦の種類(石臼か生)に、天ぷらのトッピング、「冷たいか、温かいか、ぶっかけか」を調理してる店主に告げると、店主が幾らかと答えるので、カウンターの上に代金を置いて、釣り銭箱からを釣り銭を貰っていくシステム。

今時こんな古い会計してる所が有るのかと驚く。今のご時世なら、わざと釣り銭を多く持っていく人も居るだろうに、店主はあまり気にせずにお客様を信じるスタイルである。江戸っ子なのか、粋ですね!

天ぷらは温かいうちに食べると申しますが、峠そばの天ぷらは直ぐに揚げるスタイルです。作り置きはしてますが、回転率が早いので、ストックが直ぐ無くなります。

私が頼んだ野菜天ぷらですが、ゴボウ、茄子に春菊です。どれも衣は薄目の揚げており、食材の食感とごま油の香りで、とても旨し。蕎麦つゆも、関東風の濃く汁ではなく、優しい味わいです。

周りの評価通り、『峠そば』は、蕎麦良し、汁良し、天ぷら良しの三点揃い踏みで、立ち食い蕎麦と言うジャンルでなく、正に蕎麦屋として頂点を極めてます。今後は茅場町の方で再出発を図るみたいです。またオープンしたら訪れたいと思います。