馬のスクミって、数値化が出来るの?

一口馬主

3月に入り、花粉症で悩まされる私。中央競馬会では、新人ジョッキーがデビューを迎えてます。今年も女性騎手が2名もデビュー。減量で優位なので、穴馬に騎乗ならドンドン買っていきたいです。

馬のスクミって、数値化が出来るの?

ベイステートくんの月例報告が届いた。先日の緊急手術後の容態が気になります。大本営(シルクホースクラブ)の発表は以下の通りです。

ノーザンファーム空港担当(2023年3月1日)「その後も社台ホースクリニックで様子を見てもらっていましたが、日に日に状態は安定してきていましたし、この中間に無事に退院することが出来ました。一時はスクミの数値がかなり上がってしまったので心配しましたが、ひとまずは厩舎に無事に戻ってくることが出来て良かったです。現在は曳き運動で様子を見ていますが、社台ホースクリニックでもこれまであまり見られなかった症例ということもありますし、引き続き馬の状態にはよく気を付けていく必要がありますから、今後も獣医師と連携を取りつつ進めていきたいと思います」

ベイステートくんは、無事に退院しました。容態が安定して何よりです。しかし、ノーザンファームしがらきへの移動が、これで大幅に遅れそうです。しかし、オステオコンドローマ(骨軟骨腫)と言うあまり見られなかった症例を、早期発見してくれたスタッフには感謝です。

ところで、コメントに有った「スクミの数値がかなり上がってしまった」の部分が気になりました。スクミは検査で分かるモノなのか、そもそもスクミって歩様の乱れから来る疾病と思ってた私。詳しく調べてみました。

コズミとスクミの違い!

競走馬の疾患のほとんどは、獣医師が使う診断名よりも、厩舎用語で伝えた方がわかりやすい。「管骨骨膜炎」よりも「ソエ」、「蜂窩(ほうか)織炎」「フレグモーネ」より「キズ腫れ」の方が、おそらくわかりやすいです。

では、コズミとスクミの違いが、一体何なのかと言うと、コズミは『筋肉痛や筋炎等に関する疾病の俗称』、スクミは『コズミの重度化』と覚えると早いです。

ちなみに、パドック解説者が「この馬はコズんでいる」と言うのは、コズミ(筋肉痛など)の影響で、歩行がぎこちないと言う意味です。軽度のコズミであれば、引き運動やパドック周回中を重ねて、返し馬で解消されるケースも有ります。

主にコズミを発症する原因と言うと、ハードな調教、レース後の疲労の蓄積、長距離での輸送、及び慣れない環境でのストレスが挙げられると言います。

コズミが悪化すると乳酸が蓄積され、血液性状の異常にまでなります。この段階に来ると、スクミになります。

スクミを病理学的に「労作性横紋筋融解症」と呼ばれ、「麻痺性筋色素(ミオグロビン)尿症」等の病名で呼ばれます。

筋肉が何らかのダメージを負って筋由来の色素が血中に溶け出し、最終的に尿に混ざって出るつまり、尿検査の数値が異常をきたしてると、スクミと判断する事が出来ます。

スクミで尿に出てくる色素はミオグロビン。赤血球で酸素を運ぶヘモグロビンの仲間で、ヘモグロビンより酸素との結合力が強い。筋線維では、酸素をため込むために使われている。筋組織は常に破壊と再生を繰り返しているが、破壊が亢(こう)進して血中に出てくるミオグロビンが多くなると尿が黒くなるのです。

スクミの症状としては、運動後に歩様が乱れ、呼吸が乱れ、発汗が激しくなり、症状が悪化すると、起立不能になり、生死に関わります。スクミを起こさないために、ビタミン剤等のサプリメントを競走馬に与えます。

スクミ、コズミなどは、跛行で終わらす場合が多いです。しかし、調べてみると、我々は意外と馬の疾病に関しては、知らないことが多いです。パドック解説でコズんでると聞いたら、その馬の動向に注目したいと思います。